きざし

麦の穂をゆらす風のきざしのレビュー・感想・評価

麦の穂をゆらす風(2006年製作の映画)
5.0
作品紹介や、レビューを読んで、
残虐な拷問シーンがあることは知っていました。


ふと、この作品の冒頭をを観ながら、

人ってなんで悲しいと涙が出てくるんだろう?

不思議な現象だよね・・・なんてことを
考えながら観ていました。



そして、主人公たちが、初めにつかまって、
兄さんが拷問を受けるシーン・・・



悲しいのでも、嬉しいのでもなく、
こんな風に深く恐怖を実感し、
涙が止まらなくなったのは、
生まれて初めての経験で、自分でもびっくりしました・・


今までにも残虐なシーンのある映像は、たくさん
みてきたのに。


彼の叫び声を聞いて、
奥で捕まっている仲間たちが、
「頑張れ!!」とか言いながら、
皆でアイルランドの歌を声が枯れんばかりに大声で歌う姿が、
なんとも痛々しかった。


あの励ましと、応援歌は、自分自身を恐怖から
奮い立たせ、励ますものだった。


それが何とも痛々しく、
次は我が身かと恐れる心が痛い程伝わり、

自分までそこにいる気分で、あまりの恐怖に
震えと涙が止まりませんでした・・・



初めは、アイルランドを抑圧しようとする
イギリスに立ち向かう為、
同じ志を持って戦ってきた兄弟が、

なぜ、殺しあうことになったのか。

同じ目的を持っていたはずなのに。

お互いに愛情をもっていたはずなのに。

何とも理不尽でやるせない。


歴史は、こんな理不尽な戦いであふれている。



私は、イギリスが、アイルランド人に対して、
こんな差別的な行為をしていたことを
この作品で、初めて知りました。


イギリス人を、ちょっと軽蔑しそうになりました。

え~、じゃあ、私の大好きなあのバンドも、あの俳優も
みんなそうだったんだ・・・ショック!!
なんて。 

けど、よくよく考えたら、私達、日本人も
近隣の国に、同じような事してたんですよね。

同じ穴のムジナじゃん!
私は、初めて日本人であることを恥ずかしいと思いました。


あらゆる国の歴史や史実を知ってこそ、
その国の人々と、ちゃんと向き合うことが
できるんだから、

歴史をもっと、勉強しなければと、
切に思いました。
きざし

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