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スローなブギにしてくれのRenkonのレビュー・感想・評価

スローなブギにしてくれ(1981年製作の映画)
4.5
角川特有のアバンギャルドな世界で織りなす、男と女のシティロマン。
タイトルとジャケだけ見て手にした作品だったが、内容もなかなか俺好みだった。
まずキャストが最高すぎる。
バーのマスター室田日出男のカウンター越しで、山崎努がウイスキー煽ってるんですよ?
これぞダンディズムの至極。

真っ赤な夕陽を背にバイパスを走る、一台の白い外車。
そこに流れるは主題歌「スローなブギにしてくれ」
その車中には出会ったばかりの浅野温子と、山崎努の会話が時を紡ぐ。

「ねえ、この車なんていうの?」
「…うん、、ムスタング」
「ヘェ〜(声裏返る)ムスタング」
「君、名前はなんていうんだ?」
「さち乃、小林さち乃。平凡でしょ?」
「ヘェ〜(声裏返る)」
「おじさんは?」
「え?」「な・ま・え」
「…ムスタング(含み笑い)」

もう、、この時点で大好き。
山崎努のイタズラっ子みたいな笑みが堪らなく良い。
昔から、猥雑で男の色気ムンムンな、山崎努というダンディズムが大好きで、俺にとっては永遠の憧れなのである。
そんな山崎努の魅力がこの作品には存分に詰まっていた。

80年代初頭のデカダンな雰囲気の中描かれる、はみ出しもの達のヒューマントラフィック。
永遠に合致しない、男と女のエゴの応酬。
「味噌汁、パンに合うわよ」
なんて、嫌味言われちゃったりなんだり。
そんな人間くさいこの作品が、僕は大好きです。

(舞台は福生ですが、ロケ地の殆どは神奈川の県央付近ですね。地元の私としては、30年前の街並みを見れて、何とも感慨深い気分になりました。ちなみにゴローのアパートも近かったので見に行きましたが、30年前と殆ど変わってなかったのでビックリしました!)
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