しりたん

神の左手 悪魔の右手のしりたんのレビュー・感想・評価

神の左手 悪魔の右手(2006年製作の映画)
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原作では、「さびたハサミ」、「消えた消しゴム」、「女王蜘蛛の舌」、「黒い絵本」、「影亡者」の5つのエピソードがある。
その4話目の「黒い絵本」が実写化。
実写になっていた事を忘れていたので見てみた。
結果、このまま実写の存在を忘れていた方が幸せであり、無駄な時間を過ごさなくて済んだわけですが・・・。

私は原作の「黒い絵本」は気に入っています。
理由は色々ありますが、まあ5つのエピソードの中で一番狂気が
感じられるからかな?w その狂気がまず無い。
無駄な脚色でさらに台無し。
原作は携帯電話なんて存在しない頃の話しです。
そこに無理に現代風を突っ込まれ、携帯電話登場。

原作にある痛々しい、変な方向に足を折る所が丸々ない。
変わり(?)に無駄な脚色で増えた冒頭で狩られる犠牲者の姉、殺人事件だと乗り出してくる刑事、主役の 想の姉がいつの間にか主役になっている謎の展開などなど。

小屋にケーキを置き、無理に食べさせるシーンでは、原作だと犠牲者3人(男1女2)に対し犠牲者2人(女2)。
ホラーマンガの実写化=流血。これ一番大事だと思いますが、
その血が全く血に見えないショボさ。生首は人形・・・。
ケーキのシーンで使われる生首は冷蔵庫に入れっぱなしで話が進むので、焼却炉で焼き、想の顔に焼きつく火傷跡も無い。
ちなみに、この小屋は もも宅の1階とつながっているおかしな設定。
歩けないので2階で寝たきりの ももは分かるが、1階でオノ振り回して拷問しているなら感づかれるのではなかろうか?( ´・ω・)y─┛~~~oΟ◯

原作では目は逝き、顔には火傷跡で、夢遊病の様につぶやきながらフラフラと病身の もも の場所に向かう想はインパクトが強く、見ている側には印象強いが、この腐った実写版ではメイクも施されていないので、単に ももの場所に向かっているだけで間抜けている。

家を“ネジル”のはさすがにCGでも大変そう。なのでネジレはなかったが、家ごと消滅してへんちくりんな粘土細工の家に早変わりするのは止めてもらいたい!
返り血などで血だらけのラストを迎える想、想の姉、もも ですが、絵本を拾うシーンの切り替わりで3人共 一っ風呂入ってきと言わんばかりにキレイな身なりになっていて興ざめ。
終始 ファンを萎えさせるこの出来栄え・・・。

原作者の楳図かずお もワンシーン出ています。
原作だと仕事中に絵本を書いている ももパパの絵をたまたま覗いてしまう若奥様(?)の所です。

楳図かずおインタビューが特典映像に入っていました。
実写するにあたり、要望を2つほど挙げたと語っています。
内の1つは“刑事物にしないでください”。
刑事物にはなっていないが、刑事登場で雰囲気ぶっ壊しているのが分からないのであろうか?
原作者も『神の左手 悪魔の右手』がお気に入りだとも話していた。お気に入りならば、実写化の話を止めさせろと言いたい。

この御時世、グロイと何かと叩かれ問題になるから、元々グロく狂気なこのマンガの実写化を作ろうとする時点で間違っていると思う。
製作者、原作者は楽しい、うれしい などがあるだろうが、観る側、ファンにしてはたまったもんじゃない。
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