三四郎

おとうとの三四郎のレビュー・感想・評価

おとうと(1960年製作の映画)
3.0
弟は肺病で寝たきりになってはじめて、義母の病気、手脚が思うように動かず寝たきりでいるしかないことの辛さを知った…。

映画の前半は、姉に心配ばかりかける放蕩者の弟やリウマチを理由に家事を何もせずキリスト教のみを信じ家族の者に猜疑心を募らせるだけの義母に腹立たしさや救いのなさを感じていた。しかし映画の後半は、弟が肺病になり家族がそれぞれ変わっていき、それぞれの抱える気持ちがわかるようになる…という展開に、人はもともと誰しも善人なのだと心があたたかくなった。
ベッドで横たわる弟の言葉ひとつひとつ、その重み、そして涙…、反省や後悔をした時はもう遅いのだとつくづく感じた。

ラストはどう解釈すれば良いのか…。姉は、弟の死にショックを受けその場に倒れたが、医師や看護婦に運ばれ寝かせられる。しかし、スッと起き上がり白いエプロンを当然のように腰に巻き、心配して見に来た義母に「お義母さん、休んでてください」と言いおき出て行く。映画前半では、女学校から帰ってすぐに義母にあれやこれや家事を言いつけられ壁に掛けられた白いエプロンをふんだくるようにして取っていたにもかかわらず、この時はさも当然のように掛けてある白いエプロンを手に取る。そうして弟の病室へ向かおうとしているのだろうが…彼女はあまりのショックに少し気がおかしくなってしまったのだろうか。ここで「完」の文字が出るのでなんとも言えないが、終幕に「怖さ」が残った。原作はどう終わっているのかしら。
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