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「おとうと」に投稿された感想・評価

クワン

クワンの感想・評価

4.0
市川崑監督って凄い。もっと世界的評価を受けてもいいなと思う。本作の翌年にはキネマ旬報ベストテン第10位の「黒い十人の女」というシャープでモダンな傑作を撮って、数年後には「東京オリンピック」記録映画。どんなジャンルにおいても完成度が高い。

この作品は幸田文の小説が原作で名脚本家の水木洋子が脚色し、貧しくも強い絆で結ばれた姉と弟の半生を描き、まあクライマックスからは涙なしには見られない。なんといっても姉役の岸恵子が本当に素晴らしい。撮影も「羅生門」「雨月物語」の日本を代表する名カメラマン宮川一夫が、フィルムに特殊加工を施し色調を落とすという’銀のこし’と呼ばれる手法を編み出し、哀しみ、切なさ、辛さが滲むようなくすんだ雰囲気を演出した。

数十年後に吉永小百合と鶴瓶でオマージュ的な作品が作られているが比べようもない程に人間の美しい兄弟愛に満ちた傑作だと思う。

1960年キネマ旬報ベストテン第1位
ルー

ルーの感想・評価

4.0
観ていてまず、中川一夫撮影の「銀残し」って何?と思っていたので、シルバーに覆われる美しい映像にうっとりしてしまった.カメラワークが以前に観た「ぼんち」と似ていると思ったら、やはり同じ中川一夫撮影だった.

凄く良い作品だった.
後妻さんと上手くいかない姉弟.
台詞にある「薄い悩みから離れないのが重い悩みより辛い」だったかな?そんな弟が言う台詞の後に肺を患っていることがわかる.
よくある内容なのに、何故か凄く心を打たれた.
姉の岸惠子と弟の川口浩が素敵!
取っ組み合いのけんかですら、恋人同士に見える.
同じ悩みを抱えると共感して仲良くなるんだろうな.
やんちゃで不良に走る弟がラストは病気で亡くなる対比が、涙を誘う映画の典型的なパターンではあるが、それでも良い作品だった.

出演が他に、森雅之、田中絹代、江波杏子、岸田今日子とあまりに豪華でした.
市川昆監督作品。岸恵子とタッグを組んでた頃のだいたい良いですよね〜
『プライベート・ライアン』でも使われてた「銀残し」という現像手法を世界で初めて使った作品。
それをする事で、いわゆる雰囲気が出る(雑なまとめw)。まぁ、カッコイイって事ですよ。
コントラストが強くなったり、渋みが出たりとかも。

調べたところ、『セブン』も使ってたとは知らなかった。意外だったのは、『エイリアン4』も使ってたっていうw

話は、やんちゃ、というより不良の弟に呆れつつも面倒を見る姉、という二人の話。
弟は姉と喧嘩するのが楽しくて、姉も弟の面倒を見るのが好きだったり。

ひとりっ子なんで、姉、やっぱ良いねぇ〜って思う次第でした。
おとうとと姉を追い越していく
無数の雨傘、助太刀するアヒルの群れの白さ、灰色の病室…
どれをとっても美しい。

失うまで、一番そばにいる
存在のありがたさはわからない。
去る側も、見送る側も。
Haruki

Harukiの感想・評価

4.6
幸田文の原作は未読だが、露伴と継母を含めた家族の関係が私小説のようにリアリティを持って綴られる。

親との希薄な関係、姉弟の仲が独特な映像美の中描かれる。

鍋焼きを食べるシーンは異常なほど圧倒される。
弟が結核で死ぬまでを描く。正直いえば、さすがに古い。1960年だから、60年前の作品。当時の結核による死もどこか遠い世界。

強気な姉役の岸恵子が和服というのもどこか違和感を感じてしまった。時代としては和服が普通なんだろうけれど、彼女からはすごくモダンな感じしかない。
また弟役の川口浩もバラエティ番組での探検隊長としてのイメージが強くて笑、観ていて彼に気持ちが入らなかった。
notitle

notitleの感想・評価

3.7
家庭内のチグハグも相まって、やんちゃを繰り返す青年が、病に倒れる話。病気が家族の距離を縮める。不安と現実が本当にみるべきものを提示する。結局は兄弟で、根底に変えれぬ優しさと、愛がある。彩度を抑えた銀残しが、悲壮感と哀愁に拍車をかけてた。
岸恵子と田中絹代が素晴らしい。完全に役にはまっている。突然のラストは市川崑らしい。
銀残しという手法を生んだ記念碑的作品。

何故こんな加工を施したのかと思ったら、やはり当時のテクニカラーだと明る過ぎてこういう理由なき反抗じみて鬱屈とした作品には合わず、かといってモノクロだとあまりに暗いってことなのかと思う。

映画としても市川崑のキレのある演出と流れるような宮川一夫の撮影等が見事に合致して頗る良い出来に見え、それだけでも良いのにこれのおかげでセブンもプライベートライアンも、銀残しでなくとも似た暗さを持った2000年代のイーストウッドの傑作群も生まれたかわからないってもんだから凄い。
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