とぽとぽ

美しき冒険旅行のとぽとぽのレビュー・感想・評価

美しき冒険旅行(1971年製作の映画)
3.0
映画の魔法があるかはまだ分からないけど不思議な魔力のある作品…。いつまでも今の形で人間様が栄えた暮らしでやっていけると思ったら大間違いだ。人間の営み、本来のあるべき姿へと帰化する。
悠久の時がしばし流れたかと思えば、何かと何かを比較するような編集・画のつなぎが出てきたり、眠くなるほどヘンテコで、『パフォーマンス』等に続いて個人的には今ひとつハマりきれていない感があるけど、ニコラス・ローグ監督が映像で語ることに長けていることは間違いない。逆に『パフォーマンス』や『地球に落ちて来た男』など、結局ニコラス・ローグの作品はあらゆるレッテルを拒む彼の作品でしかないのだ。
ラジオという人間により作為的に持ち込まれた文明のモチーフ。パパは400時間持つって言ってた!仕事漬けの都会生活にメンタルをやられてしまったのかまさかの我が子2人と銃殺無理心中を強行しようとする父親から、放浪の旅をする羽目になる姉弟。登場人物は16,14,8歳?開けたロケーションの中で都会と田舎、文明と自然、都市と砂漠、野蛮と共存、命と大地、水浴びと徒歩、性のめざめ(木から二股の枝まで)に血。そして、何故かコミュニケーションを取れるようになっていく弟。
最後に置いていくラジオ(=マテリアルな文明・都会らしさに侵されていた彼らが人間らしさを取り戻せたということ)と滅びた文明のような採掘場のための町、繰り返される「遠くへ行かないでね」。自然のイメージが作中の大半を占めていたのに対して、OPと同じ硬質な線のひしめく都会のイメージが並ぶ。彼女の夫は、彼女の父と同じことにならないだろうか?

賭けはここまで
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