とっくに観たつもりだったのだけど、初鑑賞だった。これは名作。
藤沢周平原作、山田洋次監督の3部作第1弾。2003年の日本アカデミー賞受賞。
先日観た「ジョン・ウイック:コンセクエンス」の真田広之と、石井裕也監督「月」の宮沢りえが共演している。
真田広之が素晴らしかった。「里見八犬伝」などのアクションスターのイメージから、本作では見事な役者さんに変貌していた。後に英国、米国での活躍も納得。
宮沢りえも、清兵衛を想う朋江を見事に演じていた。芸能活動再開後に、本作で評価され、「紙の月」や「湯を沸かすほどの熱い愛」などでも好演。今年の「月」に繋がっている。
ダンサーの田中泯が初めて映画出演した作品。そう思って観ると、侍・余吾の動きが舞踊のようにも見えてくる。この後、俳優としても大活躍。味のある魅力的な役者。
次女役の女の子がとても可愛らしかった。この次女が父の思い出を語るという作り。既に故人となった大好きな父の短かった人生。貧困であったあの頃。しかし、他人が言う"たそがれ"ではなかったであろうその父の人生を晩年の次女（岸惠子）が語る。
特に最近は、こういう作品に触れると胸が打たれる。とても心に染みて涙がじわりとくる良作だった。
