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この子の七つのお祝にのliのレビュー・感想・評価

この子の七つのお祝に(1982年製作の映画)
3.6
岸田今日子と岩下志麻の放つ暗鬱なオーラに圧倒された。
母親から娘に遺伝した唯一のものは“呪い”。麻矢の母親にとっては夫が全てで、麻矢にとっては、母親が全てだった。一言、憎しみで片付けられるならまだ綺麗な方だったと思う。
昔の回想シーンがいちいちトラウマものだけれど、幼き麻矢にとってはあの空間が世界の全てだった。あの不穏な空間で生きてきたからこその、全ての結果。恐ろしいけれど、切ない。
昭和映画の癖が詰まった映画で、真実と後味の悪さが強烈だった。

母親役の岸田今日子の顔つきや目線、仕草、喋り方全てが狂気的で最高。
砂の女を観てもっとホラー空間の岸田今日子が見たいなと思っていたから、目当ての彼女に辿り着けて嬉しかった…もっと演技している所を見たくなるけれど、今作のように少ない時間で印象を残せる稀有な女優であるというのも実感した。
不幸な女が似合い過ぎるし、あまりの存在感に岩下志麻の美貌さえ印象が薄くなる。
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