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MEN 同じ顔の男たちのLzのレビュー・感想・評価

MEN 同じ顔の男たち(2022年製作の映画)
3.2

知識が豊富だったり察しのいい方のレビューや考察を拝見したら、鑑賞中に自分が感じていたことが言語化されていてすっきりした。多面的な見方をして作品を咀嚼できる人は羨ましいな…。

ただこれもメタファー、あれもメタファー、これらがわかれば理解も進むよ!感が全面に押し出されてて白けた部分はあった。もう観てる間はその不可解さと気味悪さを味わってるしかなくて、この作品を好む人が少ないのもわかる。撮り方が凝ってるから観ていられるものの、もっとクオリティが低かったら観ていられなかったな。

死んでも尚自分に纏わりつく男性性による支配と、少なからず残る罪悪の意識。その罪悪感や葛藤さえ鬱陶しく思えてくる。
目の前で繰り返される異様な出来事に対してハーパーが突然冷めた態度を取り出したのは、あの場では不自然に思えるけれど、嫌気の差した女性の感覚に共鳴したからか、私まであの気味の悪いループに冷めた目を向けていた。あのグロテスクさに気を取られがちだけど、冷静に捉えてみると呆れてくる。しつこい、もう消えてくれと思う他なくなる。あんた自身でそのループを止める努力をしてみてくれよと。

でもあのグロテスクな描写は中々にクオリティが高くて見てて満足した。作り手としてもあそこは手を抜きたくなかったんだろうな。あり得ないのにありえてくるような再現性が凄かった。洗練された気持ち悪さだった。

あれらは罪悪の意識に苛まれたハーパーが見た幻覚だったのか、血の跡を見る限りどこまでが現実で何が本当なのか正解の結末がわからない。クラッシュも血も嘘じゃなかったし、じゃあハーパーが出会った人物は全員旦那とは関係なく、気持ちの悪い男たちだったの?作中で顔が同じことには言及していないから、それぞれあの場に実在する、ハーパーにとっては最悪のタイミングで出会った“田舎的”な男どもだったんだろうな。
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