にょいりん

北の螢のにょいりんのレビュー・感想・評価

北の螢(1984年製作の映画)
3.0
明治期北海道の監獄に君臨する典獄(刑務所長)の転落とその小さな王国である監獄で起こる欲望と裏切りの人間模様。
仲代達矢が目をギンギンに光らせて演じる魔王のような典獄は傍若無人な振る舞いで囚人達をどんどん死なせてゆく。そんな地獄に囚人の妻達が夫に会うために監獄に来てそこにある女郎小屋で働いているが、看守達に取り入って夫を脱獄するための方法を画策する。
いかにもドロドロの欲望が渦巻くサスペンスを期待させる設定だけど、結局最後までどこにも突き抜けなくゆったりと典獄は軟着陸していった。登場する役者は豪華でその演技も濃厚だけれど、なぜかとても地味に感じる時間が多かった。まるで開拓時代の北海道の風景に熱を奪われたみたいに。そんな低熱の中ではやたらと多いヌードシーンはただのサービスカットでしかなかった。
典獄が最後に牢屋の間を花道のごとく歩くシーンはさすがの仲代達矢らしく劇的な見せ場だったが、突然現れる熊(!!)のゴジラばりの登場シーンも強烈な見せ場だった。