まーぼ

旅路のまーぼのレビュー・感想・評価

旅路(1967年製作の映画)
3.9
佐久間良子のあの時代の女優顔の破壊力が凄まじい。可愛く且つ綺麗で終始本当に釘づけだった。
仲代達也と無事に夫婦になれたのも束の間、次々と残酷な不幸が彼女を生活ごと覆いかぶさる。
他人から押し付けられた赤ん坊を背負って仕事に駆け回り、旦那のよからぬ噂から生活圏内全ての人が彼女を口撃する。田舎の村八分は本当に恐ろしい。
苦労して育てていた赤ん坊をある日突然返してくれと現れるとあの女を殴ってやりたい。
地方に嫁いだお嫁さん残酷物語一辺倒にさせなかったのは若き日の樹木希林演じる仲代達也の妹の存在。あの時代には稀有なまるで現代の女性がタイムスリップしてそこに存在しているようなニュータイプ感が素晴らしかった。
ニュータイプといえば、冒頭まるで最初から喧嘩腰で仲代達也との見合いに臨み、母親とともに滅茶苦茶憎まれ口叩いて退場した吉行和子演じる佐久間良子の姉も当時としては先進的。この映画は当時の色んなタイプの女性を自由に描き切っていて気持ちいい。
仲代達也の見せ場はただ一つ。佐久間良子と喧嘩しながら出された茶碗蒸しに「大好きだ」と返したシーン。館内爆笑だった。
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