むっしゅたいやき

レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカのむっしゅたいやきのレビュー・感想・評価

4.3
或るバンドのアメリカ〜メキシコへの道行きをユーモラスに描く、嬉し楽しいロードムービーである。
アキ・カウリスマキ。

カウリスマキ作品の常連、無表情男のマッティ・ペロンパーも見られ、何故か嬉しくなってしまったが、本作の見所と言えば矢張りのファッションであろう。
多分に前衛的な、'80の本邦の若者を見る様な其の髪型、レイバンも斯く乎と言わんばかりのサングラス、ジェラール・セネやピエール・コルテ、サントーニすらも驚くであろう、超ロングノーズシューズには、刮目と同時に笑わせられた。

絵作りに就いては他のレビュアー様に譲るが、カウリスマキの初期作品は、台詞を排したパントマイム的な面白さが有る。
本作に於いても其れは顕著で、話者を絞り、バンドメンバーの大方は上記のファッションに無口と強面乍ら、惚けた行為を為すと云ったギャップを生み出す事で、些かエッジの効いたユーモアを提供している。

「共産主義から資本主義への変移」的に見立て、支配人⁼資本家としてシニカルに表現しているのだ、と云った見方も出来ようが、反面、本作は慌ただしい日常や穿った考察から離れ、長閑に、暢やかに見られる作品としても仕上がっている。
シネフィルにのみならず、広くお勧めしたい一本である。
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