このレビューはネタバレを含みます
『韓国映画 この容赦なき人生』から
久しぶりに観たけど、R-18がついてるだけある残酷な描写が続く
もう、冒頭の、夜に人気のない田舎道で雪が降るシーンで車がエンストしてて、通り過ぎて近くに止まるバス、忍び寄るチェ・ミンシク(ギョンチョル)、怖すぎる
次のシーンでイ・ビョンホン(スヒョン)の妻が全裸にされた状態で透明なビニールに包まれていて、身動きも取れずこんな絶望はない
続く会話が
「どうしても殺すんですか?」(もう、悟りと諦めの境地)
「なんで?」
「お腹に赤ちゃんが」
ゴッ、って
観入ってしまう
復讐劇という括りで見ればスヒョンは妻だけでなく義理の父や妹をも殺されてしまうのだから、「勝った」とはならない(そもそも勝ちなんてあるのか)
スカッとした復讐劇にならないのも韓国映画ならでは
ギョンチョルにしても家族に自分の生首を晒す最期なわけだから、行き着いた先は痛み分けなのか(ギョンチョルは息子はサンウォン、母は母さんと呼んでいた。父は「年寄り」だが、いくらかは人の心もあったのか)
現場を荒らすマスコミに対して「撮るんじゃない。それでも人間か」は、昨今のSNS社会にも通じる風刺
ギョンチョルにはちょいちょいブーメランなセリフがあって
「まるであいつはサイコだな」
「この野郎、何しやがる」
サイコ仲間が登場したときは、そのうちの1人が刃物で手を貫かれて机に固定されて抜こうとしたら柄だけ取れるシーン、思わず笑っちゃう
このバランスもすごいよな〜
まきびし踏んじゃうギョンチョルも笑っちゃうし
個人的な感情の復讐劇の行き着く先は、周囲をも巻き込んで苦しみを最大化させてしまうという
最後に涙するスヒョンは、悪魔ではなくまだ人間にとどまれているのだろうか