ね

ハワーズ・エンドのねのネタバレレビュー・内容・結末

ハワーズ・エンド(1992年製作の映画)
4.9

このレビューはネタバレを含みます

ルースがさくらんぼを夫や息子の口に入れる一瞬があるのだけれど、もうそれだけでこの映画のことが大好きになった、

カット割り、とくに暗転と芝居の見せ方が原作小説の「章立て」に近いの、フォースターの文体や描写がもつ慎ましさ、端正さを最大限に引き出そうとしているのが伝わるというか、セットがセットにみえない画面づくりに胸が詰まりそうでした、もちろんフォースターやその翻訳のことばでしか浮かび上がってこない部分もあるだろうし、映像というメディアに置き換える過程で台詞や場面が変わったり足されたり、ということはあるけれども、物語とハワーズ・エンドがもつ美質をなるべく維持しようという繊細さを感じる、

あと原作を読んでても思ったんだけどtoxic masculinityの権化みたいなチャールズがさいごああなるのはなんというか、納得いっちゃうんだよな〜〜 

ジェンダーはちがえどみんな社会の制度に苦しめられていて、階級や過去のしがらみのなかで他者と他者はわかりあえるのか、わかりあえないのか…… 登場人物はみんな完璧じゃないし、ちょっとずつ醜悪さをかかえていて、だれに心を寄せるか、あるいはだれを嫌に思うかは、だれをかわいそうに思うかは、そのときの自分の立ち位置や価値観によって変わってくるんだと思う、スクリーンで観たいな
ね