半兵衛

危険な英雄の半兵衛のレビュー・感想・評価

危険な英雄(1957年製作の映画)
2.0
鈴木英夫監督らしくサスペンス描写は冴えているが、『バスジャック』の遠藤章造を超える石原慎太郎の棒演技が社会派サスペンスの体裁を全て台無しにする問題作。当初は石原の役を仲代達矢が演じる予定だったらしいが、そうなったら傑作になっていたのだろうな。

ただ石原慎太郎特有のしゃべり方や性格が傲慢で自分の出世や利益のみを優先する主人公の新聞記者のキャラクターと妙にハマっていて、作品のテーマのひとつである「特ダネを優先する新聞記者のモラルの低下」を見事に体現しているのも事実。でも見ていてムカつくけれどね(演技するたびにまばたきするのが腹が立つ)、その分ラストの堕ちていく主人公の姿から得るカタルシスは半端ないが。

あと『第三の男』をイメージしたと思われるテーマ曲が作品の雰囲気とあっていないのが気になった、なんかあの曲が流れるたびに硬質な作品の雰囲気がぶち壊される。
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