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セデック・バレ 第二部 虹の橋のodyssのレビュー・感想・評価

3.0
【ドラマとしての練りが足りない】

第一部はパラドキシカルな面白さがあったのですが、残念ながら第二部の出来は劣ります。戦闘シーンに次ぐ戦闘シーンですが、興奮を引き起こすというよりはむしろ単調な印象が残ります。

先住民があまりに強く、日本軍はあまりに弱い。別に私が日本人だから言うわけではありませんが、現実の戦争・戦闘ってこんなに単純・一方的なものじゃないんじゃないか。少なくとも多数に及ぶシーンをこれだけで押し切るのは無理があると思う。

あと、戦闘に従事する男たち以外の先住民族の描き方が、やや不親切。もう少し内部の意見の対立だとか、男と女の立場の違いだとか、日本と先住民族の間で板挟みになるところとかを、時間をかけて展開したほうがよかった。戦闘シーンに時間を取られすぎですね。

叛乱に協力しなかった部族の描き方は、なかなかいい。結局先住民といっても部族間での対立があり、そのプライドは日本という大きな圧力があっても融和するには至らなかったということなのでしょう。

日本軍司令官(河原さぶ)も、最初はいかにも現場を知らない高級将校なのですが、最後には大和魂を彼らから教えてもらったというセリフを吐く。だけどここは、それまでの(日本軍の部下に対しても)高圧的な態度からするといかにも唐突。もう少し途中で何かを入れておくべきでしょう。

というわけで、ドラマとしての練りが足りないのが残念でした。
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