平久保百年子

セデック・バレ 第二部 虹の橋の平久保百年子のネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

暴力は強い方が勝つ。圧倒的な力の差があると分かっていながら戦って死ぬことを選んだマヘボ社のモーナ・ルダオ。マヘボ社との確執があったとはいえ、生き延びることを選んで日本側についたトンバラ社のタイモ・ワリス。

セデック族のマヘボ社の女たちは、長期化する戦闘で食料が足りなくなることを危惧して自ら命を断つ。我が子を崖の下に落とし首を吊る母親。女たちの悲しい歌声が胸に迫り、苦しい。

日本軍の入植がなかったら、村同士の長の果し合いで住んでいたかもしれなかったことが、日本人とセデック族の激しい対立で大勢の人が命を落とすことになったのは、あまりにも酷く、多くの日本人が知るべきことだと思う。

日本は鯨を食べるということで、よその国から色々言われるたびに「その国の文化を否定するな云々」言うけども、その日本が台湾で「セデック族の文化」を否定し、あまつさえズカズカと上がり込んで街に作り変えて恩に着ろとまで言い放ったことを忘れちゃいけないですよね。
日本はどこの国からもズカズカ上がり込まれて土地を勝手にいじられたり、蛮族扱いされて奴隷みたいに使われたことが無いことを、もっと意識的に捉えた方がいいと思う。

本当に、つくづく、あんなことがあったのに台湾が日本を友好国としてみてくれていることはありがたいと思う。