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アルファヴィルのyayuyoのレビュー・感想・評価

アルファヴィル(1965年製作の映画)
4.5
人工知能α60によって統制されたα都市=アルファヴィル。
泣いたり笑ったりしたら、即死刑。
何故ならば、ここには感情という非論理的な物が人間にとって不必要だとされているから…
最初は社会主義への批判かと思ったけど、劇中の台詞からそうでもなさそう(資本主義も同時に批判されてる)。
情報が溢れた現代において、自分が必要な情報は何でも手に入れられる様に見えて、
その実メディア等によって得られる情報には規制がかかっている。
そんな社会への批判なのかな、と個人的に感じました。

架空の都市が舞台なんだけど、60年代のパリで撮影されているそうなのでレトロな雰囲気。
しかし、遠隔通信(ネットですかね?)や〇〇等級といった聞き慣れない言葉、
劇中何度も繰り返される不思議な挨拶、
無表情な人々によって、
近未来の異空間に見えてしまう不思議。
そしていつも同じ事を言ってしまいますが、
やっぱりアンナ・カリーナはかわいくて、
彼女の目に吸い込まれそうになります。
あのコート、素敵だなぁ。

先日鑑賞した『軽蔑』程ではありませんが、こちらも話の筋はわかりやすい。
何と言っても、ラストのアンナ・カリーナが放つ台詞。
あの言葉が全てです。


ゴダールの映画って、この前見た『軽蔑』は例外的に見てる最中から面白かったんですけど、鑑賞中はそこまで好きじゃない事が多いんですよね。
カメラワークとか台詞とかいちいちカッコつけて!と思ってしまう。
でも、最後にいつも心を奪われてしまって、あれも良かったな、これも良かったな、って思い返してしまうんです。
で、結局繰り返し見ちゃう。
なんだか少女マンガに出てくる男の子のような存在です。
きっと、私はその男の子に恋してるんだと思います。
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