がぶりえる

太陽を盗んだ男のがぶりえるのレビュー・感想・評価

太陽を盗んだ男(1979年製作の映画)
4.1
「なんかとんでもないないことしてやりたい!」野望を叶える映画

先が全く読めない
ぶっ飛んでる
昭和にしかなかった危なっかしさと荒々しさをそのまま映画にしたような作品

中学生を人質にとるバスジャック犯、
天皇陛下を脅迫、
プルトニウム強奪、
原爆完成、
国家首謀者を脅迫…
この映画こそが爆弾
あり得ない設定で、とんでもないスケール感へと話が突き進んでいくのが面白い。とんでもない展開を力業ともいえる映像の破壊力で見事にやりきっている。この熱量と凄まじさは唯一無二。
 
木戸は特に狙いがあるわけでなく、ただ自分より強くて称えられる存在を脅かしたい、というのが良い。社会を変えたいわけではなく、ただエグい事をして社会を震え上がらせたい。
彼は毎日何者でもない者として生き、様々なフラストレーションを抱えながら、「その他大勢」の中に埋もれている。それは我々にも通ずる所があると思う。皆自分の中の満たされない何かを発散させたいと思っている。でもそれは生きていく上で邪魔だとされることがほとんどだから心の奥にしまっている。しかし、木戸は原爆を完成させた。実に並外れた、爽快な方法で我々の中にある危険な野望を叶えてくれた。
危険過ぎるけど気持ちがいいし、生き生きしていて格好いい。この映画を観てそう感じた。