がぶりえる

軽蔑のがぶりえるのレビュー・感想・評価

軽蔑(1963年製作の映画)
3.8
愛のジレンマ

ゴダール作品のキャラクターは、人間の本音とか愛の伝わらなさ加減がとてもリアル。言いたい事が上手く言えないジレンマに陥って、抜け出せなくなって、自分さえも見失って、訳わかんなくなる感じが超ゴダールっぽい。カップルの噛み合わないやり取りがリアルで、時にイライラするんだけど、でもなんか凄い自然で愛おしさもある。上手くいかない不器用な人間の情緒に退廃的美しさと何とも言えぬ愛おしさを感じ取って、映像化するゴダールのセンスの高さ。ゴダールはやっぱりセンスの人だな。

あと、「軽蔑」というタイトルが良い。本作は、女性が男性の良いように使われ描写が多々ある。女性に皿を拾わせたり、女性の背中を台座代わりにしてメモをとったり、妻の気持ちを考えずに浮気したり、男はホント好き勝手にやる。そんな蔑む視線を女性から男性に対してもお見舞いしてやろう、という挑発的メッセージがあるように感じた。