三樹夫

メメントの三樹夫のレビュー・感想・評価

メメント(2000年製作の映画)
3.7
この映画で揺さぶられるのは記憶すらも当てにならんと、記憶は確固たる基盤でもなくて、記憶が当てにならないとなると自分というものも揺さぶられるわけで、世界五分前仮説とか水槽の脳的な恐怖だ。観てる人間も崩壊していく。

この映画は言ってしまえば、結構シンプルな話を逆からやるという手法を使っているがゆえに複雑になっているが、記憶すらも当てにならんということに対して、時系列が逆に進んでいく手法がうまくはまってると思う。複雑にすることによって逆に明確になってるように思う。
この映画は記憶が10分しか保てない主人公が何がどうなってるのか分からなくて混乱するように、観てる側も同じように混乱させてやるわという主人公に同化、同調する混乱するのが気持ちいいというマゾ的快感かあるいは崩壊という恐怖がある。

DVDの特典には時系列順に編集し直したバージョンがあり、そちらは本編に対する解答のようになっているので、本編を観てなんのこっちゃわからなかったら時系列順バージョンを観ればいいと思う。
本作はノーランの話複雑系作品の中ではまだ分かりやすい方という、話複雑なことにノーランはフェチズムがあるような。
三樹夫

三樹夫