妻を殺されたレナードの復讐劇。展開が予測不能。ノーラン監督作品はいつもラストで考えさせられる
記憶喪失を題材にしているのに、ありがちにしないところがノーラン節の効きどころ。さりげなく逆再生が使われているのも巧妙だ。レナードはポラロイドとタトゥーを頼りに他者による記憶の改竄を防いでいる
後半になるにつれ、彼の筆跡すら信用出来なくなってくる。これは元々の目的すら偽造されたものだったから
完全にレナードの脳内に入り込んだ感覚。客観的な描写は一切なく、彼の主観で映画は進行する。そのため観客は、10分しか記憶が続かない彼と同じ感覚、感情をスクリーン越しに共有する
現在から過去に遡り描写する手法は革新的かつ技巧的。一歩間違えれば誰にも受け入れられない脚本を、見事に大衆向けに描き直した、フィルムに投影してくれたと感じる
観れば観るほど分からない映画。自分の記憶すら疑いたくなってくる。これは凄い映画だ
