まーくん

メメントのまーくんのレビュー・感想・評価

メメント(2000年製作の映画)
4.2
最愛の妻を殺されたショックから10分間しか記憶を保てなくなってしまった男レナードは、犯人の手がかりをタトゥーとして自分の体に残し、復讐の鬼と化し妻を殺した犯人を追う。

冒頭、ポラロイドカメラで撮った写真が徐々にぼやけていくシーンから始まる。
フラッシュが光り、血が重力に逆らっていき、銃が手の中に滑り込んでくる。
そして男が撃たれる。
こんなシーンから映画が始まり、一気に引き込まれていく。

現在から過去へ、そして過去から現在へと絡み合う複雑な時系列、自分と世界の関係性とその受容、愛が人を突き動かすということ、これらのテーマがうまく脚本に落とし込まれ、素晴らしい作品となっている。

カラーパートでは現在から過去へ遡り、モノクロパートでは過去から現在へ進む、という複雑な脚本の構成で初見で全てを理解するのは難しいが、それがまた「10分しか記憶を保てない」レナードの状況を擬似的に観客も体験できるような脚本になっており、この映画を素晴らしい作品に仕立て上げている。

何よりも人間を突き動かすものは愛だということを改めて感じさせられる傑作。


「たとえ忘れても
やることに意味がある
目を閉じても世界は消えない」

「記憶は思い込みだ
記録じゃない」

「自分の外に世界はあるはずだ
たとえ忘れても きっと
やることに意味がある
目を閉じてても
そこに世界はあるはずだ
本当に世界はあるか?
まだ そこに?
あった
記憶は自分の
確認のためなんだ
みんな そうだ」
まーくん

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