Luna

天国と地獄のLunaのネタバレレビュー・内容・結末

天国と地獄(1963年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

黒澤明は4作目。
これまで観てきた羅生門、赤ひげ、七人の侍と雰囲気が異なるのは、原作が海外作品だからだろうか。
終盤の犯人の鬼気迫る演技は、流石、山崎努さんだった。

黒澤映画の一番好きなところは、思いもよらない視点から画面を切り取ってくれるところだろうか。
黒白だけど、人の息遣いが色彩を伴って感じられることが不思議だ。

いつもながら、女性の立場に立って観てしまうけれど、この時代に生きていたら私は窮屈で仕方なかった気がする。本作も、夫に泣き縋る女性の姿を観ていると、そうするしかない立場でしか生きられない彼女の姿に、とても苦しい気持ちになる。働くこと、成功することが価値とされる男性、夫に追従し、大人しく、子を成すことが価値とされる女性。天国と地獄とは、性別間にも存在しているのかもしれない。
時代が変わり、人の在り様が変わったのだなと、この年代の映画から思う。

映画の感想とはズレてしまったけれど、理不尽を感じていたとしても、この時代に生きていられることは幸せなことなのかもしれない。
Luna

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