カート・ヴォネガットの原作は途中棄権している。“痙攣的時間旅行”というワードに惹かれて読んでみたものの、どうにも読み進めるのがしんどくなってしまったのだ。同様の感覚で村上春樹作品も何度かしくじっている。もう合わないものは合わないのだセンスなくてすまんねと開き直りますよフン。
という訳でこちらは映画化されてることを知って観てみたのでした。
うん、これはとっつきやすかった👍
主人公のビリー・ピルグリムは時空を行き来しながら人生を送っている。戦後のアメリカで妻子と豊かな生活を満喫しているかと思えば、第二次大戦時のドイツで捕虜になっている過去にいたり。かと思えば地球から遠く離れたトラファマドール星で宇宙人の見世物になっている。なんですかそれは。
いやはや不思議で奇妙な物語。幸福も恐怖も愛も憎しみも淡々と描かれ、流れていく。原作では「そういうものだ」という述懐が繰り返し出てきていたが、そういう達観がこの作品の通奏低音。劇伴はグレン・グールドで、コリコリと粒がそろい凛として軽やかなピアノがこの作風に似合ってた。
戦時中の過去に突然タイムスリップ(※ちょっとこの表現は間違ってたのでコメント欄に追記しました)するっていうのは、PTSDのフラッシュバックっぽいなぁと思ったり。アメリカ人にとって第二次大戦は誇らしい成功体験だろうに、連合軍によるドレスデン爆撃を批判的に語っているあたり、シンパシーを覚えましたね。ヴォネガットっていい人なんだろな。自分とは相性悪いけど😢