2018年10月7日 U-NEXTにて視聴。
「さすがは信玄、死してなお、3年の間、よくぞこの信長を謀った」
劇中のこの台詞は、公開当時のTVスポットでフィーチャーされていて印象的だったのを鮮明に覚えている。
信玄の弟によって信玄の影武者に仕立て上げられた盗っ人の運命を描いた悲喜劇。
たった一度の対面と、その後の骸との再会で、本格的に影武者として生きる覚悟を決めた盗っ人。
持ち前の度胸と勘の良さで、影武者としての使命を恙無くこなして行く男の姿を、仲代達矢が圧倒的な演技で魅せる。
影武者という存在を超え、信玄公として乱世を生き抜く覚悟が、正体の露見に繋がるという皮肉な展開。
一人の元盗っ人に戻った男が、阿鼻叫喚の地獄絵図と化した長篠の戦いに、幽鬼の如き表情を浮かべて現れる様は圧巻。
前述の長篠の戦いを始め、冒頭の城内シーンなどに見られるリアルな迫力の映像に加え、影武者が見る悪夢の幻想的な映像美が観る者を圧倒する。