三四郎

波の三四郎のレビュー・感想・評価

(1952年製作の映画)
2.5
1952年の映画だが、戦前の1930年代前半の映画のような人物造形とストーリー展開で戦後の作品とは思えぬ違和感があった。
何というか、若い女性はどんな人でも過ちを犯すものだとでも言うような…?

特に、淡島千景の妹役津島恵子の描かれ方が、「モガ」そのもの。明るく率直で軽率。「現代娘」=「モガ」は,、欧米流の個人主義にかぶれ自分の意志で行動していて、何からも束縛されることのない「新しい女性」のタイプとして描き出されているが、その描写の仕方が固定観念に凝り固まっており、決して好意的には描かれていない。
恐らく作者自身も気づかぬうちに「現代娘」=「モガ」を"危うく幼稚な人物"として描き出してしまっている気がする。洋服を着てお洒落な若い女性が明るく率直で軽率で積極的で思慮が足りないように描かれるのは、小説家が男性だからか、将又、実際そういう女性が多かったのか…。

人物造形に古臭さを感じたのは当たっていたようで…、鑑賞後に調べてみると、1928年(昭和3)、7月から11月まで『朝日新聞』に連載された山本有三の長編小説の映画化だった。
三四郎

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