三四郎

双頭の鷲の三四郎のレビュー・感想・評価

双頭の鷲(1947年製作の映画)
4.5
「僕はあなたを幸せにすることはできない、しかし僕らは紋章にある双頭の鷲になれる」
この作品は、宮廷もの悲劇で舞台劇をそのまま映画にしたような、舞台の映画化と思わずにはいられない作品だが、なかなか見応えがあった!!

「愛は政治に勝つ」フランスらしい終幕だ。
ヌーヴェルヴァーグが登場する以前のフランス映画は「愛」や「恋」を真っ直ぐ捉え、崇高に気高く、それでいて素直に描いていて実に良い!お美事!私はこういった作品の方が好きだ。スマートで綺麗で誇り高く美しい。

「神よ 我らを受け入れ天国で結ばせたまえ」二人は天国で結ばれることを願い、その通りになった。いや、「あなたを殺し僕のものにする」と彼は言ったがその通りになったと思いきや…やはりこの身分違いの恋は、階段の上で倒れる女王と階段を転げ落ちるただの男と…手が触れ結ばれることはなかったと考えるべきなのか?

この映画で最も心に刺さった科白は「人々との距離が互いを知る壁となり 真の悲劇を作る」
これは王と平民の関係によらず全ての人間関係にも当てはまるだろう。

あの女王の右手を挙げ『モロッコ』のゲイリー・クーパー並みのキザな挨拶!!粋で好きだな!

思惑、策謀が交錯する単純ではないまさに貴族、王族の物語。味方と敵と噂好き…。黒いベールといい、運動器具といい、エリーザベトのようだと思っていたが、コクトー監督はそこからヒントを得たようである。
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