一

博徒解散式の一のレビュー・感想・評価

博徒解散式(1968年製作の映画)
-
『解散式』のほうは、極悪非道な敵役がいて、鶴田が耐えに耐えて最後に殴り込むという任侠映画の様式に沿っていたが、今作で鶴田が闘っている敵はなかなか名状しがたい。足を洗いヤクザと完全に手を切り生き残ろうとする渡辺文雄に対して、鶴田が「オレたちヤクザじゃん!」とすがっているように見えてくる。もうほとんど鶴田の悪あがきなのだ。ラスト、文雄と鶴田の室内決闘シーンは俯瞰で撮られ、二人の顔は陰に覆われている。全く燃えない。そして決着のあとでものすごくブルージーな音楽が流れ出す。ここから深作欣二は実録路線へ向かう。出番は少なめだけどヤク中の負け犬丹波がすごくよかった。
一