この都合の良さからくる名作の風貌は映画の魔法でしかないとは言えつつも、ジーナ・ローランズのふるまいひとつひとつに説得力があるがゆえ、なのだともおもう。「3時間待ちなさい」と言うジーナに対して「3時間半待つ」と言った子ども。その30分でなにが変わるでもない、なにが起きるでもない。ただ30分余分に待とうとすること。せめて30分でも多く待とうとする子どもの純粋な希望、不安。そして結局ソファで寝て過ごしたゆえにその30分なんてあってないようなものだったという結果からしても、子どもという存在をよく捉えているカサヴェテスだった。