凛太朗

グロリアの凛太朗のレビュー・感想・評価

グロリア(1980年製作の映画)
4.0
『レオン』からイカれた汚職刑事が消えて、主人公が女性になって相棒となる子供が男の子になったら『グロリア』になる。というくらいには『レオン』の原型となってます。
観ていて、あぁ、ゲイリー・オールドマンのあの役柄はやっぱ最高やったんや!とか、ナタリー・ポートマンは本当に天才子役やったんやな!と思いました。

本作、ジーナ・ローランズが演じる元悪の組織側の人間であるグロリアの固ゆで卵具合…否、ハードボイルドな感じがめちゃくちゃカッコいいんですけど、魅力的な悪役は特に出てこないし、グロリアに託された6歳の男の子フィルを演じた子は、お世辞にも上手とは言えない。
それに、ストーリーが凝っているというわけでもなく、なんなら荒唐無稽で都合良すぎるってところでありますけど、それでもこの映画は魅力的。

これはやはり、インディペンデント映画の巨匠ジョン・カサヴェテスと主演のジーナ・ローランズが実際の夫婦であり、長年苦楽を共にしてきた間柄だからこそなせる技なんじゃねーかと思う。
カメラワークや音楽もさることながら、私生活を縁の下で支えていたジーナ・ローランズが、子供嫌いで不器用っていう設定ながらも強くてかっこよくて見た目以上に美しいのだ!
この辺、強い女性を描くことに定評のあるジェームズ・キャメロンと被るところがある。

子供嫌いとは言っても、明らかな母性本能が描かれます。
母性=精神的な強さの根源。
血は繋がっていなくても、グロリアの母としての成長と、フィルの子供が子供らしくありつつも、大人に向かって行く成長が、相互作用として描かれています。
それ故にラストシーンのカタルシス、爽快感たるや凄いものがあります。
あれは本当に美しいラストシーン。
これがあるから、グロリアという名前にも、父親が聖書だと言い張ってフィルに「これに世の中の全てがわかるように書いてある!男らしく生きろ!」的なことを言い遺して託した手帳にも意味が出てきますね。
凛太朗

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