コカ子

ミストのコカ子のネタバレレビュー・内容・結末

ミスト(2007年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

とても良い映画を観る事が出来て大変満足である。


長く名作とされてきた、SFホラーと言えばの質問には真っ先に上がることも多いこちらの映画。

結末は見物であると言われ続け、サブスクサービスが世に多く出回る今では夏も冬も必ずと言っていいほど「SF映画」「ホラー映画」「胸糞映画」に名を連ねるこの作品を、正直な所舐めていた。

文句無しに星5であった。面白かった。

映画や作品というのは周りの評価が高ければ高いほど期待してしまうので、自分の期待が大きすぎたあまり裏切られてしまう事も少なくない。だからこそお高く止まって、「フン、どうせ流行りに乗せられた馬鹿共がまた騒いでいるだけで大した事はない……」と言う気持ちで、暇つぶしに、軽い気持ちで見たのに……。私が愚か者という事が証明されてしまった。


物語は突然始まる。
怪しげな施設や得体の知れない化け物が冒頭から匂わされる事はまるでなく、非日常は急に訪れた。物語へのこの入りは、私達は映画の視聴者でありながら同時に、主人公と全く同じ立場に立たされていると思うことが出来た。

霧の中で何が起きているのか、何が潜むのか、果たして生き延びられるのか。
映画の中に私を視聴者で居させてくれる情報は何も無い。時間は主人公たちと同じようにしか進まないし、与えられる情報もそうだった。

町は霧に覆われて、霧の中には怪物がいて、店の外に出たら助かりそうにない。とはいえ店の中には集団心理で心を壊したカルト達がいるし、主人公達と同じだけしか私はものを考えられないので、そりゃ外に出るのを応援する。実際はどうであれ、私は今部屋で安心安全に映画を見ているのだから、冷静である。神の予言を信じようが信じまいが、出てくったら出ていく。

パパと息子のやり取り。秘密の会話を聞いた時、父親と息子の結末は見えたも同然であった。事実考えた通りになったわけだし、なんならオマケもついてきてこれで寂しくないね、パパ以外は、と言ったところだったのだが……。

予測は当たった、だがそれだけではなかった。これは素晴らしい。

SEVENを観た時に近い気持ちが芽生えた。
確かに胸糞と言えば胸糞だろう、救いはまるでなかったのだから。

作品としての構成や引き込み方、ストーリー進行が綺麗なあまり、気分の良い映画では無いはずなのにストーリー構成が美しすぎて胸糞悪くなることが出来なかった。

暇つぶしが成功して大満足に思う。

ちなみにだが、映画エンドロールの1曲目が終わった次のエンドロールがかなり最高なので、そこまで含めて見るべきである。
コカ子

コカ子