ゴジラシリーズ 第10作目
シリーズで唯一ゴジラが「存在しない」世界観の作品。子供の「夢の中」にのみ登場するという斬新な展開を見せる。
邦画の斜陽化に伴う東宝の深刻な経営不振の中、子供をターゲットとした興行プログラム『東宝チャンピオンまつり』が企画された。本作はその第1作目である。
いかんせん金がないものだから怪獣映画の製作予算も大幅にカットされており、本作に至っては特撮シーンの半分くらいは過去作の映像の流用である。
映画の本筋としては主人公の少年と泥棒の攻防となっており、仕事にかまけて子供を一人にする所謂「鍵っ子」問題や、児童誘拐問題など当時の世相を色濃く反映している。
まさかの「ゴジラが存在しない」世界線。
当時の子供たちに人気だったであろうゴジラというキャラクターを登場させてメインターゲットの共感を呼ぼうという製作側の意図は分からんでもないが、少年の夢の中にのみ存在する怪獣ってのはどうなんだろう。上記の社会的テーマにしたってゴジラとは何の関係もないし、なんでこんなプロットが通るのか理解できない。言葉を選ばずにはっきり言えば、マジでクソ映画です。
東宝のお財布事情が苦し過ぎるという背景を分かった上で観ると、なんか悲しくなります。本当に不景気な映画でした。尺が非常に短いのが唯一の救いです。
OPはキツ過ぎる。
2022年120本目