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ゴジラ ミニラ ガバラ オール怪獣大進撃のmatchypotterのレビュー・感想・評価

3.1
なんか評価が低いと思ったら、何となくわかった、、、この話は、主人公の少年の“空想”なのか、だからか。

《ご長寿の映画》Part.Ⅳ、Vol.22。
『ゴジラ』シリーズ、ついに大台、第10作目。

“空想”だから、ミニラ、、、しゃべった。がっつりペラペラに。なかなかに、いつも以上に飛び道具っぽい作品。

そして、小学生の少年が主人公。
学校で“ガバラ”の異名のガキ大将が苦手で少し交友関係がうまくいかず1人遊びに興じることが多い。

その流れで日常生活におけるちょっとした出来事や、現実逃避において、怪獣島に住むゴジラを始めとした怪獣たちに憧れてそれを重ねる傾向がある夢見がち冒険“癖”的な少年。

時代背景や人間ドラマや作品テイストがこの当時の昭和の古き良き幼き主人公が出てくるアニメを彷彿とさせるタッチ。

『ド根性ガエル』とか『ミツバチハッチ』とか、大衆的で庶民的な風景が多い。
もしくは、力道山やジャイアント馬場を観てプロレスに一喜一憂し、“強さ”に憧れる当時の少年像の象徴のような。

そういう意味でここまでの『ゴジラ』シリーズにはない独自の切り口の作品だった。
途中から『ホームアローン』的な展開もあったり。

少年はゴジラの勇ましさに憧れ、ミニラを等身大の自分の姿に重ね、ガバラなる怪獣を現実世界のガキ大将その他の障壁として投影する。

もはやこの作品には核の脅威や人類の進歩に対するアンチテーゼのようなテーマはなく、あくまで庶民的、大衆的な生活感の中にゴジラ達を馴染ませてきた、そんな感じ。

子供にとって“憧れ”や“強さ”とは何であるか、“強さの意味”をゴジラから見出し、“空想の世界”で自分を見つめ、成長していく。

この少年の成長物語の現実には、別の話がある。“5,000万円強奪した2人組の逃走犯”。

絵に描いたような犯人だが、かの有名な“三億円事件”が1968年だから、これもまたこの時代っぽい設定と風刺。

まさかのその犯人の逃亡劇に巻き込まれたことで、“空想”にふけって何かを学んだ先の現実世界でのアウトプット先がこの強盗やガキ大将とのドラマに通ずる。

要はその少年の成長の物語や彼の成長を促す“強さ”の象徴としてゴジラと自己投影の象徴としてミニラを描く。

ガバラ、ギョロ目でゴーヤっぽい質感で電撃ビリビリ、少年の“空想”で生まれた産物っぽい。そういう意味でリアル。

にしても、“空想”に耽りすぎというか、どこでも寝るな、この少年。
最終的には成長して頑張って抗う姿も見られるが、普段からもっとシャキッとしてれば得られる成長もあるんではないか。

その辺もその頃の少年っぽくて良いと言えば良い。

遅くまで働く母親とか、色んなことが当時の時事的社会的な要素も織り交ざって、当時の同年代の好奇心旺盛で夢に溢れたわんぱくな少年たちにはさぞぶっ刺さったに違いない。

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TSUTAYA DISCAS運営の映画コミュニティサイト「Discover us」にて同アカウント名でコラムニストをさせて頂くことになりました。
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別視点で色々映画について書いていこうと思います!ご興味ある方は是非お待ちしております!
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