パンケーキレンズ

父の祈りをのパンケーキレンズのレビュー・感想・評価

父の祈りを(1993年製作の映画)
4.0
これまた名作揃いの「北アイルランド紛争」もの♪

「少数派」と「多数派」の政治的(宗教的)な対立、名作が多いのは、その「力関係」や「抑圧への抵抗」が映画として描かれた時に、とても機能しやすいからなのかもしれませんね

「少数派」であるアイルランド人(カトリック系)が、「多数派」であるイギリス人(プロテスタント系)によって様々な差別を受ける
仕事にありつけない
無意味に逮捕される
デモを行えば暴力で鎮圧されるなど
そういった背景の下で、少数派たちの抵抗は次第に、過激派テロ組織へと発展したり、ハンガーストライキのような非暴力に訴える究極の抵抗が展開されるようになりました

と、前置きが長すぎる

IRAのテロ行為は、やっぱり恐ろしいです
でも、イギリス軍や警察のやってることも、腐ってます
歴史の事を知ろうとすればするほど、客観的に歴史を捉えるのって難しいなっていつも思います

で、いつ本題になるんや!?

ダニエル・デル=ルイスと
ピート・ポスルスウェイトが親子役って、それだけでなんか鳥肌

って、いきなりです♪



あまりに非情な冤罪と

少数派たちの声なき声

「おやじはなんで立ち上がらないんだっ!」って息子が罵倒するシーンがありますけど
父親は
就職差別を受けながら、ありつけた仕事をコツコツこなす
息子の為に、愚痴を漏らさすどこまでも付いてくる
自分の無実を晴らせたとしても、テロリストの協力は頑なに断る

この父親のどこが、立ち上がってないのでしょうか

心の中で勇ましく立ち上がり、抵抗し、耐え抜いた父親の姿が、胸の奥をカーッと熱くさせます
それが、ピート・ポスルスウェイト(←言いにくいw)やから、尚更です

感情に任せ、父親に反抗してきた息子の中で、そんな父親と過ごした獄中の生活が、後の人生を大きく変えることになるのですね

ある意味、無実を勝ち取った証拠が、偶然の出来事でもあるから、映画的な盛り上がりと同時に、清々しさを残して行ってくれます♪

エマ・トンプソンの、正義に訴える実直さがまたいいんだ、これが

アイルランド紛争ものは、ほんとハズレが少ない!

個人的に興味のあるジャンルってのもありますけど、『麦の穂をゆらす風』や『ハンガー』はあまりに有名ですね♩