くりふ

エイリアン4のくりふのレビュー・感想・評価

エイリアン4(1997年製作の映画)
3.5
【…ミニラか!】

3に続き、アマプラ見放題で久々に。3不評へのフォローに思える、お金かけた二次創作品。

2の時点で既に、エイリアンから神秘性は失せ、日本でいえば貞子みたいにキャラ化していた。以降シリーズは、そのキャラ使って新鋭監督が腕試しする場、になりましたね。

本作ではジュネ色に染められ、グロいのに軽妙となった。感覚的に、最近の映画に近づいている。笑える場面は殆どないのに、ユーモアが敷かれていて見やすい。200年後?という設定で、時代をリセットしたぶん、遊べたこともよかったのかな。

より未来の話なのにジェンダー問題は避け、古典的なマッド・サイエンティストものに退行している。最後なんて怪獣映画だよね。どうせ古典化するなら異類婚姻譚に持ち込めば、ジェンダーの件、引き継がれたと思うけど。

キリスト教だと明示しながら“父は死んだ!”てのは冷静でよかったが、こういう哀しみの母物語は、相変わらず女性搾取の再生産でしかないから面白みはあまり、感じられない。

シガーニーさんもアラフィフですか。crow’s feetが目立ち、そうなる年月、あの実験が続けられたのでしょうが、彼女の人生録として、シワがキワ立つ。キャリア積んだ分、演技にも自然と人生録が透けるし。でもお陰で、純粋培養されたクローンには見えないんだよね。

彼女、コスがケンシロウみたいなのは笑ったが!確かにあたた強い。“北斗酸拳”の使い手!いわばリプリー外伝だから、シガーニーさん自身、部外者として楽しめたんじゃないか。

彼女、今度は自分がエイリアンで、人との仲介役ともなるが…。歩み寄りは時代に沿っているけれど、強姦され孕まされ心中し、無理やり再生させられた、元人間の女性がその役割を担うってコト。その点、もっと打ち出した方が、映画としては志が高くなったでしょうね。

それにしても、思慮深い大人がおらず、感情的な人間ばかりで騒ぎ立てる人物配置は、この頃から強まったんだっけ?気づけば、娯楽映画はホントに幼児化したよねえ。

ウィノナ・ライダーはシリーズに吹き込む新たな風で、トーンが若返ったとは思うけど、ナゼ彼女が必要だったか、よくわからない。父に勝つ娘、の役割らしいが、なんか薄い。

性的でないが触れ合う描写が多く、匂いが漂ってきそうなのに、どんな匂いか分からない…この奇妙さが、いちばん特徴的だと思いました。

3よりは、ずっと好感触でしたが。スイマーズ・エイリアンもおもしろかったよ。

<2024.1.13記>
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