亜硝

ドッグヴィルの亜硝のネタバレレビュー・内容・結末

ドッグヴィル(2003年製作の映画)
4.9

このレビューはネタバレを含みます

衝撃的 3時間が全然苦にならなかった
センス抜群の実験的手法と作品の主題が見事にマッチした傑作でした 

プロローグの町の紹介だけそういうのでやるのね、と思ったら1章に入っても壁がないままだったので嘘だろまさか……このまま行くのか?ってなった所が一番楽しかったです
壁がないせいでチャックの尻がちっちゃく映りながら町の人々が普通に生活してる画面とか面白すぎる(と思ったら壁を貫通して挨拶し始めたりとかするし、色々謎) なんかこの滑稽さが話の重さを緩和してくれてるような感じがあってよかったですね

ストーリーは天人がギャングに置き換わった『かぐや姫の物語』って説明するのが一番近いのかもしれない。キャデラックのエンジン音でお迎えにあがります。とはいえいわゆる超越者が「下界」に降りてきて人間世界を体験するという話だったのかと、最後まで隠されている所が憎らしい。結局、地上は滅亡させる以外に救いようもなかった愚かな人間たちの国でしたというね…

町との絆が結晶化した人形が叩き割られるシーンも強烈なんだけどその借りを最後で返すところも壮絶。うーん

グレースによってもたらされた「してもいいが特にする必要もないこと」で満たされたドッグヴィルが一旦は豊かになるも、それに依存するあまり崩壊をきたす様とか、もうとにかく人間社会だなぁ

トリアーはいつも救いようのないほど登場人物の好感度を下げてから退場させてしまうので、鑑賞中に気に入ったキャラがいくつかできても見終わった後は全員いなくなってしまう。チャックとか好きだったんですけどね

白線が消えたことが町の消滅を表してるのもおしゃれすぎるし、犬が最後の最後で実在化する終わり方もオシャレ。イカしてるなぁ

大満足でした
すごい奥行きを感じるのでまた観てゆっくり考えたい気分
亜硝

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