ic

欲望の翼のicのレビュー・感想・評価

欲望の翼(1990年製作の映画)
4.4
香港電影ナイトにて。
デジタルリマスター版が出てからずっと観たくて、でもタイミングが合わずだった作品。

王家衛はやっぱりいい。ロマンチックなドラマの引き出しをたくさん持ち合わせている。それでいてどこか切ない。塩っぱい。そのバランスが絶妙で、極端であっても理解できるから魅入ってしまう。

流れる曲もよかったなぁとレスリー・チャンが踊る姿を思い出して思う。彼の魅力は顔だけではなくて……人間自体に品がある感じがした。あんなひと現れたら好きになっちゃうよね、それでいて見放されたら忘れられないよね、うんうんと周りの女性に共感するばかり。彼が演じるヨディは寂しさの塊で自分の中に立ち入られるのを嫌う。だから余計ほっとけないんだよね、と気づけば周りの女性のひとりに自分もなっている気分。

冒頭で「夢で会おう」(台詞不確か)と言うシーンはなんてロマンチックなんだとその時点で心掴まれる。限られた時間だけの友達というのも非日常的な感じがしてとてもいい。王家衛監督作品の好きなところはそういうところだ。上手くは言えないけれど。

本当に両方の気持ちが通ってると感じる瞬間は少ないのかもしれない。恋愛って繊細で不安定なものだと。
ic

ic