ic

ハム・オン・ライのicのレビュー・感想・評価

ハム・オン・ライ(2019年製作の映画)
3.8
ポスターデザインに魅せられて、ふと思い立って鑑賞したものの…
この謎はいつ解き明かされるのか、この伏線はいつになったら回収されるのかとか考えてるうちに終わってしまう。
でもどこかにつっかえたモヤモヤは残り、気づけば数日間映画のことばかり考えてた。

そもそも男女が対になるパーティーって、今もあるのかしら。恐らく、自分ならば弾き出される人間側になるだろう。限られたメンバーのなかに意中の人がいるとは限らない。ましてや、両思いなんて確率も考えてみたら少ないはず。異性愛だけとは限らないわけだし。

両親までもがそのパーティーを喜ばしいものだとしているのが、これまたややこしく、逃げ場のなさが追い打ちをかける。

後に山崎まどかさんの解説を読んだところ
このもやもやを見事に言葉に起こしてくれていて
「社会を回していくためのシステムに、大人になってから参入するため若さを生け贄にする儀式という恐ろしさ。確実に脱落者がいるというのも怖い」
と語ってる。

たしかに、これは全く社会とおんなじ。
決まったタイミングで就職し、一定の歳になると結婚を急かされる。本人はその気があるかないかではなく、築き上げられた理想像に当てはめ周りは勝手に期待していくのだ。そのレールに乗らなければ”理解できないもの”として、"変わり者"や"はみ出し者"というレッテルをはられ片付けられる。

早くも今年観た映画で印象深い作品だった。
ic

ic