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奇傑ゾロのpsychedeliaのレビュー・感想・評価

奇傑ゾロ(1920年製作の映画)
4.0
凄い映画だなあ,と観終わってから思わず呟いてしまう。ダグラス・フェアバンクス全盛期のアクション映画。
一応は剣戟映画になるんだろうけど,ここで行われるアクションはむしろ身体のバネを利用した跳躍力を見せつける柵越えだったり,身軽さを武器にした壁越えだったりの肉体派アクションであり,所謂日本のチャンバラ映画とは趣を異にしている。それら軽業師的活劇にしても当然大河内傳次郎のような暴力的かつ泥塗れにのたうちまわるそれではなく,あくまでスタイリッシュにかつスマートに徹している。かつての大都映画の看板スターハヤフサヒデトのモデルはひょっとしてここにあるのかね。
チャップリンとかキートンの映画を観ていないので,比較することができないのが残念だ。どっか名画座でこういうのを上映してくれないかなあ。最近流行りの『バイオハザード』とかの再現不可能なアクションと違って,この出来そうで出来ないという純度100%のアクションをスクリーンで観てみたい。ずっと観てると飽きるだろうけど,たまにはいいもんだ。
そういえばゾロのキャラ造形ってのは結構色々使い回されてますよね。私が思い出したのは『ドラゴンへの道』のブルース・リー。ただの田舎者にみえた青年がデブったイタリアやくざを蹴り飛ばしたときにノラ・ミャオの表情が加速度的に明るくなるのと,この映画のクライマックスは実によく似ている。
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