ぬーこ

メリエスの素晴らしき映画魔術のぬーこのレビュー・感想・評価

3.8

月世界旅行を製作したメリエスにフューチャー。メリエスの映画創作への情熱がよくわかる。また後半はスペインで発見された彩色版の月世界旅行復元の裏話。

映画発明したリュミエール兄弟と同時代にもうこんなの作るなんて先進的すぎる。
当時のセットや撮り方再現、解説する場面があるのだけれど、本当に文化祭の凝ったやつみたいに地道。でもこの地道さが良い作品を生み出す。いまの映画はアクションで凄いシーン観てもまあCGで撮ったやつだからねって思っちゃう。機械を褒めてしまって、人間を褒められない。そうなるとますます脚本が重要になってく。

メリエスはその後も工夫を凝らした、幻想的な映画を撮り続ける。しかし時代はよりシリアスなものを求めていて、彼は流れを読み間違う。最後に極地体験という映画を作ったら、同年に人類は極圏に到達してしまう。現実はフィクションを越え、観客の求めるリアルに答えられない。スタジオは16年で閉鎖,1913年に映画界を去る。その後彼は自宅もスタジオも売却、貴重なフィルムも燃やしてしまう。
映画の世界はさらに進み、トーキー映画が登場、サイレント映画の時代は終わる。

冒頭、月世界旅行のフィルム、しかも彩色版。背景におしゃれな音楽。さっき観た原作とは違った雰囲気に。このシーンこんな音楽かな、ちょいとシリアスな音楽も流れるようにしたのね


私は映画の父で、メリエスは映画創作の父だとリュミエールは言いました

月世界は空前の大ヒットとなるが海賊版がすぐに広まる。
海賊版を得たエジソンらに映画の収入を横取りされる。
その後も月世界のリメイクは続く
1906年のリメイク版では彩色されていた
映画のカラー版はそんな昔からある。白黒映画のフィルムに色つけをしている

テクノロジーは年の傷跡を消したに過ぎません

2021.24
ぬーこ

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