見ていて心が痛くなるような、切ないまでのロマンチシズムとナルシズム。
戦前の陸軍将校たちならいざ知らず、あの時代のリアリストの自衛隊員には彼のアジテーションは響かなかったんだろうなあ。
本人たちは至極大真面目に、切実に、そして極めて真剣に憂国の志士として、七生報国の思いで行動していたのだろうけれど、あの立ち居振る舞いやあの前時代的な制服などを見ると、件の自衛隊員には勿論のこと、市井の善良で温厚で平和を愛する一般市民にはどうしても芝居がかって映ってしまったんだろうなあ、と想像する。
ARATAこと井浦新が三島を好演していた。
満島ひかりの弟もすごく良かった。
ロマンチシズムとナルシズムとヒロイズムが刺さる向きには非常に美しい作品。