Angeprunelle

思秋期のAngeprunelleのネタバレレビュー・内容・結末

思秋期(2010年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

沈黙と雑音の女性。 暴力と悲鳴の男性。

この人々と遠からずのトーンに包まれて生きてる私にとっては
なんだか当たり前の虚しいぬるま湯に浸っているような感覚に陥りながら鑑賞した。

殺意を覚えるくらい酷過ぎるシーン。
不快極まりない異常なシーン。
弱者を傷めつけることで
自分を慰める人の弱さ。

貧困や階級、職場での人間関係
あらゆる日々の不満は大きな怒りとなり
その矛先はいつだって
無関係の人々や善人や弱者に向けられる。

怒りのシワ寄せを受け続け
限界を超えた苦しみや悲しみは
取り返しのつかない行動へと駆り立てる。

どれもこれも人間がやること。

私達は危うい。
私達は酷い。
私達は弱い。
けど私達はときにものすごく優しい。

やるかやらないか。
殺るか殺らないか。

良い意味でも悪い意味でも
その差はものすごく大きいこと。
けど心中はほんの紙一重だったりする。

ジョセフの行動一つ一つに思いを馳せてみると
そこには思っていたよりずっとずっと深い
近所の親子やハンナへの愛情が感じられる。

自分の弱さに気付けること
相手を見つめ続けること
苦しいものから目を逸らさない重要さ。

悲しみの積み重ねが怒り。
怒りから始まるものはない。

動物は過度に虐待されたら反撃に出る。

厳しく苦しい物語だけど大切にしたい作品。
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