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アルゴのikoanのレビュー・感想・評価

アルゴ(2012年製作の映画)
4.1
いや〜面白かった。ベン・アフレック監督&主演のサスペンス!これも観てなかったんですよ。
ベン・アフレック監督&主演と言えばザ・タウン。これもかなり面白かったんですが似たような映画にマイケル・マンのヒートがあり、これが本当に凄い映画なので影に隠れちゃうと言うか、どうしても比較されちゃって過少評価されちゃうんですよね。
で、アルゴ。ベン・アフレックさんの事、見直しちゃいましたよ。本当に面白かった。
オスカーについては色々意見の有る方も多いと思いますが、この映画は確かに面白かったです。
舞台は1979年のイラン。ホメイニ師のイラン革命の時に起きたアメリカ大使館人質事件。この時大使館から密かに逃げ出した6人の外交官がカナダ大使公邸に匿われます。
映画はこの6人をイランから密かに脱出させるCIAの活躍を緊張感タップリ、スリル満点にに描いています。
エンドロールで実際の報道写真と映画のワンシーンを重ね、リアルさをアピールしてますが、脱出の手口があまりにも突飛なんで、マジですか?って感じになりますよね。
もともとは国防総省の仕切りで計画するんですが救出のプロから見るとどれもお粗末な作戦ばかり、でCIAの救出スペシャリストの案、これが何とも嘘っぽいアイディアなんですよ。このギャグのような作戦、6人の外交官にとっては命を懸けた危険極まりない脱出劇なんですよね。だから6人がこの作戦に乗るか降りるか延々議論を重ねるんです。6人とも民主的でなかなかインテリなんです。
6人の身元や居場所がイラン側に特定されるのは時間の問題。何しろあちらはシュレッダーにかけた紙屑を子供達に復元させるという凄まじい執念で捜索するんです。これではいつまでもカナダ大使に匿われている訳にも行きません。見付かったら公開処刑です。
作戦決行の前日、突然の中止命令!ここからが凄い!いよいよ盛り上がります。
中止命令を無視して決行を本部に伝える主人公、本部の上司がいいんです!遠く離れたCIA本部からあらゆる手立てでサポート!アポロ13号の時も良かったけどこういうのってほんといいですよね、泣かせます!カナダ大使公邸から空港迄の道のりもうほんと見事な演出でハラハラドキドキです。そしてイミグレーションで案の定足留め、でも今度は仲間の一人が、計画に一番反対してた彼が…!いや〜面白かった!
この事件は私がまだ子供の頃の事件でアメリカ大使館人質事件は有名ですが、こんな裏の話は知りませんでした。で、ちょっとネットで見てみたんですが、パフラビー国王?誰これ?と思ったらパーレビ国王の事ですね。表記が変わったんだ。時代だな!
当時冷戦時代、イランの北はすぐソ連、イランも冷戦のフロントラインの一つだったんですかね。共産主義、社会主義の南下を恐れたアメリカはパーレビ国王を懐柔し、傀儡政権に仕立て上げたんですな。パーレビ国王はアメリカ寄り、西寄りの政策をとり白色革命と呼ばれるイスラム国家でありながら世俗的で欧米のような女性教育や石油利権の国有化、工業化の政策でGDPを上げたものの貧富差の拡大を招いた訳ですね。で、国民の不満をパリに亡命していたホメイニ師がすくい上げ、市民によるイスラム革命を成し遂げたという感じですかね。
当時のニュースの論調は近代的国家を築こうとしているパーレビ国王を支持、旧態依然のイスラム回帰のホメイニ師をイスラム原理主義者として厄介者の様に扱っていた様な気がします。まあ、子供の頃の記憶なので曖昧ですが…。でもアメリカの傀儡政権を作るって手口、酷いですよね。アメリカは中東、東南アジア、南米でも似た様な事やってたみたいですが。それを是とする日本の立ち位置、これでいいんでしょうか?
今北の核兵器問題でアメリカが何かをし、韓国や日本が協力する様な事態になった時、歴史は日本の内閣はアメリカの傀儡政権だったと見做すんでしょうかね…。
なんてね。
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