からかす

高地戦のからかすのレビュー・感想・評価

高地戦(2011年製作の映画)
5.0
朝鮮戦争末期の苛烈な境界線の攻防を描いた戦争映画で
実際のところ本作がどこまで事実かは分からないが
本作が凄まじい戦争映画という評価は揺るがない。

物語自体は比較的静かに立ち上がるものの
最前線部隊と合流する所から何か違和感を覚える。
ギョッとするほど自然に暴力が存在し
戦争が「日常化」している状態が伺える。
明るく愉快に笑う兵士達が戦場では異様な統制で行軍する。
悲壮感すらただよわせない姿に心がざわつく。

そして徐々に戦う兵士達の心の闇を描き
また戦うべき相手が「隣人」であることを描いていく。
戦争というものが忌むべきものということは頭で理解はしていても
さらに同じ人種であり同じ言語を喋るということを丁寧に描くことで
すなわち意思疎通が図れる「人間同士」が殺し合うという残酷さを
強く際立たせている。

さらにギョッとするほど戦争を「日常」としていた兵士達ですら
あまりにも残酷な終幕を迎えさせる。
この苛烈さ、無情さは数ある戦争映画でもトップクラスだと思う。

「プライベートライアン」以降の戦争描写として
モツや切り株も容赦無く描いており文句なし。
傑作だと思う。
からかす

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