念力を扱った作品。
念力の映画は多い。
古くはスティーヴン・キング原作の『キャリー』があり、
評価が高いデイン・デハーン主演の『クロニクル』など、
数ある超能力の中ではかなり使い勝手の良い素材である。
本作はストレートに『サイコキネシス』が題名だが、
原題は『プロトタイプ』で意味は「原型」であって、
本作で用いられる意味として「試作品」に近いです。
と言っても、
主人公が突然能力に目覚めるワケでも、
宇宙の隕石で能力に目覚めるワケでも、
神が来て能力を与えてくれるワケでも、
ないのです。
ある科学者が作ったチンケなグローブ。
静電気を利用し精神の力で電界電子を操作し、
そのグローブで物体の電界に影響を及ぼして、
反発力や引力を生み出す事ができるグローブ。
平たく言えば念力が使えるようになる。
そもそも念力には、
『テレキネシス』と、
『サイコキネシス』、
の二つがあります。
その違いは、
『テレキネシス』とは、
自分の念を送って物体を直接動かす。
簡単に言えば、手を伸ばして動かす。
『サイコキネシス』は、
エネルギーを発生させ物体を動かす。
簡単に言えば、風船を作って動かす。
その違いだ。
本作は『サイコキネシス』だから間違っていない。
自分の精神を使うけど、実際に動かすのは静電気。
だから使用する念力の効果音が安っぽいノイズ音。
主人公は教会に行くから遅刻する。
上司の注意に対しては悪態をつく。
良い人間だという描写は一切ない。
どう考えても主人公はクズだろう。
対峙する保安官も負けないクズだ。
息子を取り戻そうとして職権乱用。
だけど、バレて危うく訴えられる。
己の浮気で離婚したにも関わらず。
主人公の恋人で職場の同僚。
休憩寺に毎回5ドル借りる。
昇進の為に上司と食事する。
こちらはビッチに見えます。
『キャリー』や『クロニクル』の共通点。
それは感情を爆発させた主人公の暴走だ。
本作の主人公も暴走をするけど自業自得。
念力の影響で問題となったワケじゃない。
ちゃんとしていれば招かない問題である。
だからより一層主人公のクズぶりが浮く。
つまり、主人公には同情の余地はない。
それはクズの保安官とビッチの恋人も。
唯一の良心である神父は存在感が薄い。
それにしても、本作の念力描写が地味すぎる。
『キャリー』の念力レベルが80として、
『クロニクル』の念力レベルが100で、
本作の念力レベルは10程度の地味なモノだ。
本作の念力でやっていた事として、
相手の首をへし折って、
相手を突き飛ばすだけ。
あと車のボンネットに穴を開ける。
これで丸く収めれば文句はない。
だが、本作はやってくれました。
尻切れトンボで終わってしまう。
続編を意識したというより、
ラストを作る資金が尽きて、
終わらせるしか方法がない。
「俺の戦いはこれからだ!」
そんな風に見える終わり方。
誰が続編など鑑賞するかよ。
資金提供するバカはいない。
情報が少なすぎてレビューには苦労した。
そのワリに内容がクソすぎる映画でした。
興味本位で本作を鑑賞するには覚悟必須。
念力レベル10の映画はそれ以下の期待。
RE-66