垂直落下式サミング

声をかくす人の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

声をかくす人(2011年製作の映画)
3.8
リンカーン大統領暗殺事件に関する裁判の過程を記録に準じて忠実に再現した法廷ドラマ。リンカーン暗殺の共謀者としてアメリカで初めて絞首刑に処された女性メアリ・サラットという人物を描くものであり、やや硬めの社会派ドラマに仕上がっているが、それでもそこへ愛を絡めながら仕上げるところは、ロバート・レッドフォード監督さすがの演出力である。
アメリカという国は「正義」というものを尊ぶわりには「正しさ」は蔑ろにし、往々にして権力者が金や暴力で強引にこじつけて弱き者を吊し上げようとすることがあるが、こういった内容の創作をすんなり許してしまうというおおらかさもある。それというのも、主張することは万人に均一に与えられた権利であり、法のもとに保証された自由だとする考え方が根底にあるからだろう。それこそ我々が憧れる「自由の国」アメリカであるし、もっとも仰ぎ見て摸倣すべきアメリカの姿でもある。
ジェームズ・マカヴォイのように口角に力を入れなくても綺麗に眉間に皺の寄る男性が好きだ。やろうと思ってできることではないが、額がクシュってならずに鼻と同じラインに2本の線が通るのは憧れ。