shen1oong

演劇1のshen1oongのレビュー・感想・評価

演劇1(2012年製作の映画)
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演劇というのは、他のエンタメビジネスと比べても考えるだに狂気の沙汰だと思う。 
特に新作を上演する場合、年単位の準備から数ヶ月かけて練習し、上演するのはたった1日だけだったりする。席数は限りがあるので上がる利益の上限は決まっている。今は配信があるとはいえ(しかし配信で見る演劇など!)、利益を最大化するには準備を最小限にする吉本新喜劇方式か、ロングラン上演をする劇団四季方式か。しかしこれも常設劇場という仕組みがないと難しい。つまり稽古を減らした方がコストはかからないのだが、それはクオリティに直結する。
こんなコストパフォーマンスの悪いもののために劇団という組織を作り、作家という文学的才能を奉仕し、俳優という身体的エリートが身を費やし、演出家というマネジメントが発揮される。演劇畑の人、特に劇作家演出家に会うとあまりの頭脳明晰さに驚くことが多い。この人たち、普通の仕事をしたら大企業の部長くらいは余裕になれるのになあ、といつも思ってしまう。そんな人がいつも金がないといいながらセンベロで議論をしてたりする。

平田オリザ氏も世の中的にはリベラルであったり公共事業との関わり方などでなにかフィクサー的なイメージを持たれがちなのだが、見た目の枯れたおじさん的な姿とは対象的にパッションの溢れる人ということにショックを受ける。自分は氏の作品を2度見たが、会場入り口で自分の作品をコピー用紙で販売しているこのオリザが公立大学の学長とは全く思えずびっくりした。
といいつつこれはまだ豊岡に行く前、こまばアゴラ劇場に青年団があったころのドキュメンタリー、監督もTwitterでガッカリされる前の相田監督。デジカムで街を撮る質感が懐かしい、というか庵野秀明に見えちゃうな。
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