恥を照らし出す光
ベットに寝ている裸の男。
不意に起き出して勢いよくカーテンを開ける。
入り込んだ日差しに照らされ、ベッドに浮かび上がるタイトル。
この映画のオープニング。
体に電流が走ったように鮮烈で、
Shame(恥)の本質を突いたかのように感じました。
スティーブ・マックイーン。
流石です。
セックス中毒の男にその妹。
マイケル・ファスベンダーとキャリー・マリガン。
分かり合えそうで分かり合えないこの二人の関係性にやきもきしてしまいました。
でも、そう感じてしまうのは僕達が映画を外から眺める傍観者だからなんです。
当の本人達は色んなものをすり減らして生きている。
彼らがそれに気づくまでの廻り道を、
体当たりのラブシーンと、
美しい映像と、
監督お得意のなが回しで描き出します。
不意に自身の恥部が照らされた瞬間。
そこで初めて人は恥じ入るのかもしれません。
セックスに生きる男が恥じたのは、自分の愛欲にまみれた生活ではなく、愛欲にまみれていたからこそ見失っていたものがあった、その生き方の欠陥に気付いたからなんだと思います。
ラストシーンは逸品。
恥部が明らかとなった彼は果たして変わることができたのか。
僕は彼の思慮分別を信じようと思いました。
オープニングはビビっと、
エンディングはじわりじわり。
なんだか、電気治療を受けたような感じだな~。
どっちかと言えば肩の凝る部類の映画なんですけれど。