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バッファロー’66のlogのネタバレレビュー・内容・結末

バッファロー’66(1998年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

ヴィンセント・ギャロ、不朽の名作。観終わった瞬間にオールタイムベストを確信し、全身が脱力してしまった。

まず、演出に隙がない。どこを切り取ってもハッとするほどお洒落で、前衛的で、否が応でも惹きつけられる。冒頭のタイトルの出し方から始まり、パッチワークのような回想シーン、俯瞰のカメラワーク。挙げるとキリがないが、とにかく全てが好みだった。ボーリング場でレイラがタップダンスをするシーンは、それだけで1本の映画が撮れそうな素晴らしさ。圧巻としか言いようがない。

登場人物にも過不足がなく、それぞれがそれぞれに意味を持っていて、ビリーの人物像に深みを与えてくれる。ビリーがレイラに母性を求めるシーンは成人男性として若干の気味悪さを感じたが、アメフト狂いの母とハラスメントな父に育てられたのであれば無理はない。そんな過酷な環境でまともな人格は形成されないし、正しい愛情を受けずに育ってしまったのだろう。

度々ビリーが何かを求めて走ることが1番印象的で、出所後にトイレを探し求めて走る姿と、レイラの元に駆け戻る姿の対比があまりにも美しく、思わずため息が出た。ビリーはもう、自分のためではなく人のために走るのだなと。

愛の可能性。大傑作。
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